「穴熊の暴力」という言葉がある。
穴熊とは「固さ」と「遠さ」にすぐれているため、攻略するのに時間がかかる囲いである。
そのため、そこで稼げる時間を利用して、ふつうだとありえない無理攻めや、ゆっくりした攻めが通ったりする。

その勢いはすさまじく、一時期プロの世界ではマジで「振り飛車絶滅」の危機があったというのだからオソロシイ。
という話を前回したわけだが、とそこに、こんなコメントが届いた。
「私はこういう巨悪と戦うために振り飛車を指します笑」
おお、ここに悪と立ち向かう正義の戦士、来たる。


そういえば、プロでは少数派でもアマには振り飛車愛好家が多いし、そもそも居飛車穴熊はその中毒性の高さから、日本をはじめ多くの国では違法行為とされている。
ならば私はそれにのっとり、悪の組織「ゲル・イビアナ団」をここに再結成しよう。
初代「イービル・アナグマ団」(略称「イビアナ団」)は本郷……じゃなかった藤井猛により全滅させられたが、ここに華麗なる復活を宣言しようではないか!
ただ問題は、コメントへの返信でも書いたよう、私はふだんあまり穴熊を指さないこと。
居飛車でも振り飛車でも連結の美しい銀冠を愛し、矢倉やミレニアムを指すと「再教育キャンプ」に送られるという「ジルバーヘルム(銀兜団)」に所属しているのだ。
なので、だれか私の手足となって、代わりに居飛車穴熊で振り飛車党を殲滅してくれないか?
え? 居飛車も振り飛車も指すのに、なぜ振り飛車党にだけ敵愾心を燃やすのかって?
それは、いにしえの時代に、私がネット将棋で初手▲76歩と突くと、みな判で押したように△34歩から四間飛車にするから。
それ、こっちが振れないから!
「テキトーな駒組みから不利になってのクソねばり」
これを得意とし、その粘着から相手をウンザリさせる逆転術は米長「泥沼流」ならぬ「スターリングラード流」と恐れ(あきれ)られたもの。
そんな自分には「美濃+四間飛車」なオーソドックスなスタイルが棋風的に合ってるんだけど、だれもやらせてくれない!
こっちは昔なら森安秀光、今なら黒沢怜生の「なまくら四つ」な振り飛車にあこがれてるのに!
それもこれも、アマチュア相手にロボットのごとく、
「最初は四間飛車がオススメ。駒組みが簡単で、すぐおぼえられます」
とかぬかす、無責任なプロ棋士どものせいだ! 裁判起こすぞ!(←なんのだ?)
というわけで、我が「ゲル・イビアナ団」は、首領が振り飛車を指したいから、他の同胞諸君を皆殺しにすることにした。
さあ、震えろ振り飛車党ども!

振り飛車党のゴッドファーザー藤井猛ですら、ノーマル四間飛車では攻めきれない。

ゴキゲン中飛車も、△76歩に▲88角とこっちに引くアイデアが秀逸で「戸辺攻め」を封じ、豊島が快勝。

あの気の強い菅井もゲンナリしたろう、永瀬のキチガイ穴熊。
これからしばらく、振り飛車党の諸君には、こういった地獄巡りをやってもらう。

イビアナによる大破壊の後、無人の大地にただひとり真の振り飛車党(居飛車も好き)な私が舞い降りるというわけだ。
これで三間にも四間にも振り放題や! ナハハハハ! 升田幸三と田中寅彦がいけないのだよ。不運な諸君、来世で逢おう。


















































































